起業のやり方や流れ、手続きなど

技術の進化など様々なファクターによる人々の意識の変化、インターネットによる時間や場所といったボーダーの崩壊、それに伴う働き方の多様化など、昨今、あらゆる要因によって起業を志す人が爆発的に増えているのは、他のページでもたびたび言及している通りです。

起業自体のハードルも下がってきているとはいえ、それでも、あらかじめ考えておくべきこと、決定すべきこと、作成しなければならない書類などは多くあり、スムーズに起業を進めるためには、事前の準備や調整に相応の労力を必要とします。

そこで今回、改めて起業のやり方、必要となる手続きの方法といった基礎知識について、分かりやすくまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

起業とは何か

起業とは、会社などの組織に属して仕事をするのではなく、自らが新しい事業を立ち上げ、独立して仕事を始めることです。社長となって会社を設立するというイメージが強いですが、起業の形態はそれだけではありません(次章にて解説します)。

当サイトでも繰り返し触れている通り、近年は、インターネットの普及、及びそれに伴う情報化社会の進行によって、起業するための情報を入手する際のハードルが低くなっています。上述したように、それでも相応の労力は必要となりますが、一昔前に比べたら随分と手間や時間がかからなくなっているのです。国や自治体の様々な支援策も充実しており、しかるべき準備と申請を行えば、資金を調達するのもある程度容易になりました。

また、起業に際して思い切って会社を辞めなくても、例えば「週末起業」といった形を採ることも可能となっています。平日はこれまで通り会社に勤務し、休日となる週末に自らの事業を立ち上げてビジネスを行うという訳です。働き方の多様化が進み、社会全体で副業を容認する傾向が強まったこともあって、「試しにやってみる」といったスタンスで起業する人も増えています。

起業の形態にはどのようなものがあるのか

では、実際に起業する際の形態には、どのようなものがあるのでしょうか。

自らが社長となって会社を設立するというのが起業に対して多くの方が持つ一般的なイメージですが、起業の形態はそれ以外にも様々なものが存在します。また、会社にしても、最も多く耳にする「株式会社」だけではなく、いくつかの形があるのです。

起業する際には、あらゆる可能性を吟味・検討しながら、自らに合った形を選択することが重要と言えるでしょう。以下より、主な起業の形態を紹介します。

会社を設立する

上述の通り、会社を設立するのは最も一般的な起業のイメージと言えますが、会社にもいくつかの形があります。今回はそのうち代表的な「株式会社」「合同会社」の2種類について解説します。

株式会社

株式会社とは、株式を発行することで得られる資金を基にビジネスを展開する会社の形です。株を購入して出資する人を株主といい、会社を運営する役員(社長や取締役)と分離された概念となっているのが大きな特徴です。とはいえ実際には、特に会社が小規模のうちは、株主と役員が同一であるケースが多くなっています。

会社の成長に伴って、大規模なビジネスを展開するのにも適しているため、最も一般的な形と言えるでしょう。世の中にある大手企業や大会社などと呼ばれる会社も、ほとんどが株式会社の形態を採用しています。

合同会社

出資者と会社の運営者(経営者)が分離している株式会社と違い、出資者=運営者(経営者)となるのが合同会社です。出資者は、会社の運営に対して責任を負う一方で、経営者としてビジネスにおける様々な決定権を持ちます。

設立の手続きが簡素な上、費用も抑えられているため、まずは小規模な事業からスタートする起業には向いている形と言えるでしょう。

個人事業主になる

株式会社や合同会社といった法人という形を採らず、個人(自分1人)で事業を運営するのが個人事業主です。基本的には「開業届」を税務署に提出するだけで事業が始められ、費用もかからないため、起業する際にはまずこの形を採用する人も多く存在します。

混同しやすい概念に「フリーランス」がありますが、個人事業主もフリーランスの1つの形であると言えます。とはいえ、フリーランスとはあくまで会社や組織に属さないという「働き方を示す呼称」であり、個人事業主のように、「法律的に明確に定義された区分」ではありません。そのため、個人事業主よりも意味が広い大きな枠組みを指し、厳密に言えば同列で比較するのは筋が違うのですが、一般的には「フリーランス=個人事業主」として言及するケースも多くあります。

フランチャイズ契約をする

フランチャイズとは、親となる企業から、販売する商品やサービス、ビジネスモデルなどの全てについてライセンス提供を受け、その指導の下に自らの事業を展開する形態のことです。最も知られているのは、コンビニエンスストアのフランチャイズ経営でしょう。

既に確立されているビジネスモデルに乗じて自ら事業を始められるため、低いリスクで起業することが可能です。一方で、契約によって厳格なルールが決められたり、相応のノルマが課されたりするケースもあるため、注意する必要があります。

NPO法人や一般社団法人といった非営利法人を立ち上げる

法人には、一般企業のような「営利法人」以外に、NPO法人や一般社団法人といった「非営利法人」があります。これを選択するのも起業の一形態です。

NPO法人は、その公益性や社会貢献度などによって、様々な寄付や助成金を受けながら活動を進めます。芸術・スポーツ・文化・福祉など、あらゆるジャンルでの活動が可能です。一方、一般社団法人は、株式会社の設立に比べて制限が少なく、所轄となる役所の認可を受ける必要がないなど、立ち上げるハードルが低いところに特徴があります。また、NPO法人と同様、あらゆるジャンルを活動の舞台とすることが可能です。

起業の流れ

今回は、最も一般的である「会社を設立して起業する際の流れ」について解説します。いくつかのステップに分かれますが、順を追って1つ1つ丁寧に進めていけば、決して難しいことはありません。そのステップとは、次の4つに大別されます。

  1. 目的やビジョンの明確化
  2. 事業内容・計画の決定
  3. 資金の調達
  4. 会社設立の手続き

以下より、順に説明します。

目的やビジョンの明確化

まずは何のために起業するのか、将来的にどのような状況を目指すのかといった、目的やビジョンを検討の上、明確にすることが重要です。

起業して事業を進めていくにあたっては、いくつもの壁や困難にぶつかることになります。その際は、改めて目的やビジョンに立ち返り、しかるべき選択をした上で、適切な方向性を見出す必要があるのです。つまり言い換えれば、目的やビジョンは、今後の指針や拠り所となる極めて大切なものとなります。最初にこれらをしっかりと明確化しておかないと、事業運営のすべてがブレてしまって一貫性のないものとなり、成功を手にすることなど到底できないでしょう。

事業内容・計画の決定

目的やビジョンが明確になったら、それを基にして具体的な事業内容やその展開計画に落とし込んでいきます。詳細なビジネスモデルを決定するプロセスと言ってもいいでしょう。

このプロセスも、収益に直接関わる大事なものです。イノベーションを起こすような斬新なビジネスモデルや、既成概念を覆すような新たなスキームを生み出すのは大変素晴らしいことですが、一方で現実的に収益が期待できる内容をきちんと含めておかないと、資金不足となって早々に立ち行かなくなります。

これらを総合的に検討・決定の上で、事業計画書としてまとめておきましょう。事業計画書は、会社設立にあたって役所などに提出する義務があるものではありませんが、自らの事業計画を目に見える形でまとめておくことは、今後において必ず役に立ちます。また、金融機関に資金調達を依頼する際にも必要となりますので、この段階で作成しておくことをおすすめします。

さらに、起業にあたっては会社の名称やスタッフの役職・配置といった基本情報も具体的に決定しておかなければなりません。会社の設立には登記を行う必要がありますが、名称・所在地・事業目的・資本金・設立時の発起人といった情報は必須となります。

言うまでもないことですが、会社の名称は(もちろん、将来変更することも可能ですが)事業の発展と共に長きに渡って使用し、対外的なイメージにも直接作用する重要なものです。目的やビジョン、自らの熱い想いを込めて、慎重に検討しましょう。筆者の経験上、就職や転職の際に会社の名称を気にする人(要するに、カッコいい名前かどうかを重視する人、ですね)は、少なからず存在します。つまり、一緒に働く仲間となる従業員を募集する際には、会社名が非常に重要なファクターの1つとなるのです。

資金の調達

会社員時代にコツコツとお金を貯め、起業のための資金としてある程度まとまったお金がある方もいらっしゃるかと思いますが、それがない、あるいは足りないという場合には、現実問題としてどこかから資金を調達しなければなりません。

資金調達の方法には、他の企業や個人から出資を受ける、金融機関などから融資を受ける、国や自治体が用意している助成金や補助金を活用する、といったものがあります。いずれにせよ、実際にお金を手にするまでには、相応の手間と時間がかかることを覚悟しておかなければなりません。多くの労力を割いた結果、NGとなってしまうことだってあり得ます。起業において経験する最初の困難と言えるでしょう。

なお、強調しておきたいことは、起業、及びその後の事業運営には、自分で考えているよりもはるかに多くのお金がかかるということです。オフィスの敷金・礼金・賃貸料を始め、パソコンや什器などの購入、各種保険料、税金、従業員に支払う給与、水道光熱費など、出費となる項目は枚挙に暇がありません。もちろん、仕入れ原価も大きいでしょう。多くの起業家が口にするのは、「こんなにお金がかかるとは思わなかった」「なんだかんだ言ってもやっぱりお金がないと何もできない」といった内容の言葉です。繰り返しますが、今あなたが想定している出費よりもさらに多くのお金がかかると考えておいたほうが賢明かと思います。

会社設立の手続き

資金調達までの目途が付いたら、いよいよ実際に会社設立の手続きとなります。これはもはや完全な事務作業となりますので、淡々と、とはいえ確実に、進めていきましょう。役所での手続きや登記などに必要となる主な手順は、次のようなものです。

  • 会社に関する基本情報の決定(前プロセスで決定済)
  • 定款の作成と提出・認証
  • 資本金の払い込み
  • 各種書類の提出、登記申請

また、各種書類には会社としての実印を施す箇所が多くあります。そのため、実印を作成しておくことも必要です。さらに、登記後、事業を実際に開始するまでに済ませておくべき手続きには、主に次のようなものがあります。

  • 法人としての銀行口座を開設
  • 税金に対する諸手続き(国税→税務署、地方税→各自治体)
  • 社会保険への加入(設立後5日以内に年金事務所に届け出)
  • 従業員を雇う場合はその届け出(雇用日の翌日から10日以内にハローワーク及び労働基準監督署に提出)

1つの窓口で全てを済ませられれば良いのですが、上述の通り書類や手続き内容によって届け先はまちまちです。提出期限が定められているものも多いため、公式のWebサイトなどで慎重に確認しながら進めましょう。なお、現在は紙の書類を準備して役所にそれを持参する(足を運ぶ)といった労力をかけることなく、パソコン上でオンライン申請できるものも多くあります。その実現はそれほど難しくない上、大きな効率化が図れますので、有効活用するのがおすすめです。

起業の手続きは、やり方・方法を確認しながら、1つ1つ確実に進めましょう

以上、起業のやり方やその流れ、手続きなどについて解説してきました。文章にすると長くなってしまい、難しさを感じてしまう向きもあるかと思いますが、実際にはそれほど難解なものではありません。1つ1つ丁寧に調べながら、確実に進めていくことで、スムーズな起業が実現できるはずです。

何より、起業すること自体が目的ではなく、そのあとどのようにビジネスを進め、発展させていくかが起業家としての本質であるということを忘れないようにしましょう。皆様の起業における成功を心よりお祈りいたします。

なお、当ページで解説したような、起業のやり方や流れ・手続きといった、ある種の事務的な作業とは別に、起業家としての自分の在り方や、自分らしい起業の方向性、起業するにあたっての心構えなど、「起業家としての基本」そのものを学びたい場合は、当サイトを隅から隅までご覧ください(笑)。自然と起業家としての魂や意識が醸成され、ビジネスにおける幾多の困難を乗り切れる強靭な精神が宿るはずです。

さらには、以下のような教材を活用するのも有効です。私自身がレビューしている通り、起業を志して努力している方、あるいは起業して間もない起業当初の方にとって、最適な教材としておすすめします。

※参考
キキと起業
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